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多度大社 上げ馬神事

三重県桑名市多度町にある多度大社にて、毎年5月4日、5日に開催される多度祭。その多度祭の神事のひとつとして上げ馬神事が行なわれます。上げ馬神事は、昭和53年(1978年)2月7日に三重県の無形民俗文化財に登録された伝統のある行事です。
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毎年4月1日、多度大社周辺の地区(小山・戸津・北猪飼・猪飼・力尾・多度の6地区)から騎手を1名ずつ、肱江区から神児1名を占いによって選出。騎手に選ばれた10代の若者は「乗り子」と呼ばれ、1ヵ月の厳しい騎乗練習に臨みます。短い期間で馬を乗りこなせるようにしなくてはならないため、練習は厳しさを極めます。平日は早朝から練習することが多く、早い日では4時半に練習が始まることも。上げ馬神事の成功に向け、地域一丸となって練習を重ね、上げ馬本番に備えます。
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こうして迎えた多度祭当日。上げ馬神事では、乗り子が馬とともに、多度大社に築かれた坂を一気に駆け上がります。5月4日に12回(2回×6地区)、5日に6回(1回×6地区)の合計18回上げ馬を行ない、坂を上りきった回数や順序を見て、その先1年の稲作や景気に関する吉凶を占うのです。坂というよりも壁といった方が近い急坂を、勢いに乗って駆け抜ける馬の姿は、勇ましさと迫力があり、多くの見物客の心を惹き付けています。
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多度大社には1500年程前から白馬が棲んでいるという伝承があります。その白馬は多度山にいる神が乗る神聖な馬。この白馬が神と人間を結ぶ使者の役割を担っていると言われています。多度の人々の願いを神に届け、幸せを運んでくるというのが、多度大社に伝わる白馬伝説です。 古くから深くかかわっている馬と神社。多度大社で行なわれている上げ馬神事は、馬が神の意志を人々に伝えていると考えられているのです。
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上げ馬神事の始まりは暦応1年(1338年)~暦応3年(1341年)ごろ(南北朝時代)だという考えが有力です。始まりがはっきりしないのは、元亀3年(1572年)の長島一向一揆により、多度大社の建物や御神宝をはじめ、記録などもすべて焼失してしまったためです。その一揆後、一時中断されていた多度祭が再び行なわれるようになったのは、慶長10年(1605年)に桑名藩主である本多忠勝による多度大社再建のあと。寛政6年(1794年)に書かれた「大祭御神事規式簿」には、多度祭についての記載が存在しており、それによると、多度祭や上げ馬神事は現在までほぼ変わらない形で継承されています。
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上げ馬神事における神児と騎手を選出するのは、毎年4月1日。「神児・騎手神占式」によって各地区から選ばれます。騎手となった少年は1ヵ月間、厳しい乗馬の訓練を受けることになるのです。さらに穢れ(けがれ)を祓う(はらう)ため、食事に制限が加えられたり、祭りの数日前から騎手斎宿で精進に努めたりと、様々な準備を行ないます。
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祭りの初日となる5月4日。陣笠裃に身を包んだ騎手は祭馬に乗り込み、地区の人々とともに出発。多度大社に到着後、馬場で馬を走らせます。(馬場乗り) 上げ馬を行なう前に行なわれるのが、坂爪掛(さかつめかけ)。これは地区の代表が青竹を使って築いた坂の一部を壊すというものです。坂爪掛は、馬が坂を駆け上がりやすいようにするために行ないます。その後、各地区2回(合計12回)上げ馬となります。
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2日目の5月5日は、いよいよ本祭。本祭は初日とは異なり、多度の神に上げ馬を見せるというものです。そこで、神児に神を憑依させるための七度半のお迎えという儀式を行ないます。七度半のお迎えは、神児が馬場の中を進みながらお迎えを待つというもの。これを七度半繰り返すので、七度半のお迎えと呼ばれているのです。この儀式を行なったのち、花馬を筆頭に各地区1回ずつ上げ馬を披露します。そして、前日と合わせた18回の上げ馬の結果で、1年の吉凶を占います。

上げ馬神事は、地域が一丸となった祭事の準備や騎手による乗馬訓練など、見えざる部分にも感動が隠れています。周到に準備をした上で行なわれる多度祭の上げ馬神事。多度大社と地域の伝統を受け継ぐ「上げ馬神事」の迫力を動画で感じてみませんか。こちらの動画では、多度大社で行なわれた上げ馬神事の様子をまとめています。動画ではナレーションを使用していないため、実際の音をリアルに感じることができますので、ぜひご覧下さい。

平成24年(2012年)5月4日 多度大社。
1ヵ月以上をかけて、準備を重ねてきた多度祭の初日。
上げ馬神事では馬と騎手がこの道、そして奥に見える坂を駆け上がります。

壁のように立ちふさがる急坂。
この坂は、地域の人によって毎年築かれ直されています。
神事の安全を願い、丁寧に築かれた坂です。

騎手(祭馬)乗込
地区の人に見守られ、騎手が馬とともに多度大社に向かいます。
多度大社に着くと坂の前まで走り、神社に向かって拝礼します。

馬場乗り(ばばのり)
騎手と馬ともに馬場に慣れるよう、馬場を走ります。

坂爪掛(さかつめかけ)
祭馬が坂を駆け上がりやすくするために青竹を使って、一部を削ります。

勢い良く祭馬と乗り子が坂を駆け上がります。緊張感と迫力を感じられる場面です。

多度祭には毎年大勢の方が訪れます。独特の緊張感の中、上げ馬神事の行方を見守ります。

大役を全うした乗り子。1ヵ月の厳しい練習に耐え、緊張とプレッシャーにも打ち勝ち、見事に役目を果たしました。

上げ馬神事を盛り上げてくれた祭馬たちへ感謝。こうして、伝統の上げ馬神事は終わりを迎えます。
- 養老鉄道養老線「多度駅」下車 徒歩19分
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東名阪自動車道「桑名東IC」から6.4km
東名阪自動車道「長島IC」から7km
東名阪自動車道「桑名IC」から7.9km